推薦文
草刈津三著「私のオーケストラ史」〜回想と証言〜
その刊行を祝し、この本を推薦します。
この度、私達のオーケストラ運営の先輩、草刈津三さんが表記のような本を刊行されました。私達、
オーケストラを舞台裏から支えている人間にとっては、先輩の貴重な体験が満載された大変興味深く、
価値ある本であり、その出版を心からお祝い申し上げます。
オーケストラというアンサンブル団体は、単に演奏者が寄り集まっただけでできるものではなく、
集まった演奏者が相互に有機的に結合することにより、豊かな音楽を作り上げていくことができます。
しかしながら、我が国ではそのことが直には理解されず、その理解度を高めることの必要性が長いこと
叫ばれてきました。
このような国においては、そのオーケストラで、ある期間演奏し、その内情を知り尽くした人がオー
ケストラ運営を行うべきだ、というのが草刈さんの持論で、そのことを一貫して主張して来られました。
私達はまさにそうした草刈さんの存在を前に見て、この道に入り、後を継いできたことになります。
この本にはそういった草刈先輩のオーケストラに対するお考えや情熱が随所にあふれています。また、
若い研究者や音楽ファンにとっては、終戦から30数年間に亘る日本のオーケストラ成長期の演奏活動を
つぶさに知ることができる客観的資料性にも富んでいます。
オーケストラ関係者はもとより、研究者、一般の音楽ファンにも大変興味深い内容となっておりますので、
是非とも多くの方々にご購読いただきたく、お薦めいたします。
また、皆様のご関係の方で、本書の内容に興味のありそうな方や音楽学生などにも、広くご紹介いただければ
幸いでございます。
なお、当初、出版をお祝いしてささやかなパーティーなども考えておりましたが、あいにく、草刈さんが刊行
直前のこの時期に体調を崩され、現在、入院加療中でございますので、発起人一同、心からそのご回復を祈念しつつ、
本状をもって本著作をご案内、ご推薦申し上げる次第でございます。
平成16年12月吉日
草刈津三著『私のオーケストラ史〜回想と証言〜』を推薦する会
発起人
代表 金山 茂人 (東京交響楽団楽団長)
田邊 稔 (日本フィルハーモニー交響楽団専務理事)
松原千代繁 (東京芸術大学客員教授、元新日本フィルハーモニー交響楽団専務理事)
今村 晃 (九州交響楽団事務局長、元東京都交響楽団参事)
岡山 尚幹 (日本オーケストラ連盟常務理事・事務局長)
瀧 淳 (東京コンサーツ会長)
小尾 旭 (ミリオンコンサート協会代表)
薮田 益資 (インターネット「クラシックニュース」プロデューサー、元梶本音楽事務所副社長)
菊地 一男 (日本演奏連盟事務局長)
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